お茶のトピック

緑茶抽出物と魚油の同時摂取が認知機能の改善に有効

緑茶に含まれるカテキンには、抗酸化作用、脂肪燃焼促進作用、血中脂質調節作用などの働きがあることが知られています。また、日本人がよく摂取する魚介類に含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)には、心疾患リスクを低下させたり、高齢者のうつを抑えたりする働きがあることが知られています。このように魚介類を中心とした日本の伝統的な食事はヘルシーなものとして世界でも注目され始めていますが、茶カテキンとDHAの同時摂取が高齢者の認知機能を改善する可能性を示唆する研究結果が論文として発表されました。

研究者らは、特別養護老人ホームに入居している高齢者を、緑茶抽出物[茶カテキン400mg]+魚油[DHA700mg]を同時に摂取するグループ、プラセボを摂取するグループの2グループに分け、それぞれの試験食を6ヶ月間摂取していただきました。
認知機能の評価は、改訂長谷川式簡易知能評価スケールを用いて評価しました。

その結果、プラセボのグループでは摂取前と6ヶ月後で認知スケールの値に変化ありませんでしたが、茶抽出物+魚油を摂取したグループでは6ヶ月後に認知スケールが有意に増加していました。特に「記憶想起」、「言語の流暢性」で有意に改善が認められました。

近年、緑茶と魚介類の摂取量は低下していますが、この研究は高齢者にとって茶抽出物とDHAの摂取が生活の質の改善に役立つ可能性を示唆するものです。

論文:緑茶抽出物と魚油の同時摂取が高齢者の認知機能と血漿脂質に与える影響
日本食品科学工学会誌 62(2), 88-94, 2015