お茶のトピック

農芸化学会で茶葉タンパク質の機能性について発表します

茶葉タンパク質の血圧降下作用について、農芸化学会で発表します

2015年3月26~29日に開催される日本農芸化学会2015年度岡山大会において、当社研究員が「茶葉タンパク質分解物の血圧降下作用」というタイトルで発表を行います。本発表では、以下の内容を報告します。

茶葉タンパク質分解物の血圧降下作用
Antihypertensive effect of tea leaf protein hydrolysate

茶葉には約30%ものタンパク質が含まれていますが、そのほとんどが水に溶けにくく、茶を抽出した後も茶殻に残留したまま廃棄されています。私たちは茶殻を有効利用するために、茶殻をアルカリ処理してタンパク質を抽出し、それを酵素処理することで茶葉タンパク質分解物を得ました。

得られた茶葉タンパク質分解物は、生体内で血圧上昇に関わることが知られているアンジオテンシン I 変換酵素(ACE)の活性を阻害することを確認しました。また、高血圧自然発症ラットに茶葉タンパク質分解物(2.5 mg/kg BW)を経口投与したところ、生理食塩水のみを与えたコントロールと比較して、血圧の上昇が有意に抑制されることが分かりました。

さらに血圧降下作用に関与する物質を特定するために、茶葉タンパク質分解物をゲル濾過や合成吸着剤で分画し、分取HPLCにより活性物質を精製して構造を解析したところ、ACE阻害活性を示した物質は、ジペプチド(イソロイシルチロシン、バリルチロシン、アラニルトリプトファン、バリルトリプトファン)であることを明らかにしました。

従来捨てられていた茶殻から調製したタンパク質分解物が血圧降下作用を示すことが分かり、新たな機能性食品素材としての活用が期待されます。


武田和哉, 小林泰次, 鳥田祥子, 後藤慶一, 南条文雄, 三井農林株式会社, 日本農芸化学会2015年度岡山大会