お茶の健康パワー

抗酸化作用(3)

茶カテキンの生体内抗酸化作用

前回 述べたように、お茶は強い抗酸化力を持っています。その大きな要因としてお茶に含まれる茶カテキン類が挙げられます。
カテキンの抗酸化作用に関する研究は数多く報告されており、老化や各種疾患の要因とされている酸化的障害を防ぐことが明らかにされています。
今回 、茶カテキンが私たちの体の中でどのような抗酸化作用を発揮するのか、ラットを用いた研究結果をご紹介します。

高脂肪食摂取によって誘発されるビタミンEの酸化に対する茶カテキンの効果

パーム油(飽和脂肪酸)またはエゴマ油(不飽和脂肪酸)を30%含む高脂肪食と、高脂肪食に茶カテキン1%を添加した食餌をそれぞれラットに1か月間与え、茶カテキンの添加による、血漿及び赤血球中のα-トコフェロール量を調べました。
パーム油およびエゴマ油のいずれにおいても、茶カテキンを添加した群では、茶カテキンを添加していないControl群と比較して血漿及び赤血球中のα-トコフェロールの減少を有意に抑制していることが分かりました。(図1)1) 2)
α-トコフェロールはビタミンEの一種であり、抗酸化物質として体を酸化から守る働きがあります。
エゴマ油など不飽和脂肪酸の多い高脂肪食を摂ると体内の抗酸化物質が多く消費されるようになります。この研究結果から、茶カテキンは高脂肪食によって誘発されるビタミンE酸化を抑制したと考えれます。

図1.血漿と赤血球中のα-トコフェロール量に対する茶カテキンの効果
図1.血漿と赤血球中のα-トコフェロール量に対する茶カテキンの効果
(*P<0.05, **P<0.01, ***P<0.001:Controlに対して有意差あり)


お茶の持つ抗酸化力は、私たちの体の中でもその効果を発揮し、老化や各種疾患の予防に役立っていると考えられています。
また、効果を発揮するためには継続的にお茶を摂取することがとても重要です。健康な体づくりのためにも日々の食事からお茶を取り入れてみてはいかがでしょうか。


【参考文献】
1) Nanjo, F. et al., Bio.Pharm.Bull., 1993;16(11);1156-1159
2) 南条 文雄, 原 征彦, 食品工業, 1995;38(4);79-82.