抗酸化作用(2)
お茶の持つ抗酸化力
図1.ポリフェノールを含む各成分の抗酸化力の比較
緑茶やワインなどに含まれるポリフェノールは、植物が酸化や紫外線から自分自身を守るために作り出している抗酸化成分です。ポリフェノールを含む各成分の抗酸化力を測定したところ、緑茶ポリフェノールである茶カテキンが最も抗酸化力が優れていることが分かりました(図1)。
日本人に馴染みのあるお茶を飲む習慣は活性酸素対策に効果があり、お茶を飲むということは健康を維持することに関係しているかもしれません。
カテキンの抗酸化力
茶は製法によって非発酵茶(緑茶)、半発酵茶(烏龍茶)、発酵茶(紅茶)の3つに大別されます。しかし、どの製法で作られた茶も、ポリフェノールやカロテノイド類、ビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化力の高い成分を含んでいます。
緑茶のなかで最も多い成分は、渋味成分であるカテキン類です。緑茶に含まれる主なカテキン類は(-)-エピカテキン(EC)、(-)-エピガロカテキン(EGC)、(-)-エピカテキンガレート(ECg)、(-)-エピガロカテキンガレート(EGCg)の4種類です(図2)。これらのなかで抗酸化力が最も強いのはEGCgであり、ビタミンEの10倍以上の抗酸化力を持つことが分かりました1) (図3)。
図2.茶に含まれる主なカテキン類
図3.カテキン類の抗酸化力の比較
茶を作るなかで発酵が進むとカテキン同士が結合し、紅茶の赤い色素であるテアフラビンやプロアントシアニジン、テアシネンシンといった化合物に変化します(図4)。これらの化合物も優れた抗酸化力を持っています2)(図5)。
図4.紅茶の発酵過程で生成する紅茶ポリフェノール
図5.テアフラビン類の抗酸化力
(ウサギ赤血球ゴーストを用いた生体膜脂質の過酸化抑制作用)
次回はお茶の持つ抗酸化力が私たちの体にどのような効果をもたらしているかを詳しく説明します。
【参考文献】
1) 南条 文雄, New Food Industry, 1998;40(12);61-67
2) 南条 文雄, New Food Industry, 2000;42(5);49-55